前回までのあらすじ
老若男女すべての読者の情緒を破壊した男、叶黎明───
本編あらすじ
「遅延返し」を始めた獅子神に「ちょっと無理がある作戦じゃないか?」「優しい敬一君は ちゃんとオレを殺せるのかな?」と話し掛ける黎明。
「随分とペラペラ喋るじゃねぇか」
「裏かかれるぞ そんなにオレをジロジロ見ると」
10ラウンド目、結果は───
【門番】黎明 | 居眠り | 鉄壁 | 歓迎 |
【旅人】獅子神 | ハンマー | ハート | たいまつ |
【門番】黎明のスコア | ハート-1 | 変化なし | たいまつ+1×2 |
ハッピーハート | ロウソク | |
獅子神 | 2 | 0本(無効状態) |
黎明 | 4→3 | 1本→3本/5本 |
考えうる限り、獅子神にとって最高の結果。
黎明のハッピーハートを減らし、更にロウソク2本に火を点けた事によって、黎明の残り時間を一気に1/4───1時間8分にまで減らすことが出来た。
だが獅子神は、今のはあくまで「騙し討ち」だという事を理解していた。
そして今後二度と、黎明は今のような隙は見せないのだろうと。
だというのに、次の出し物を待つ子供のようなワクワクした表情を見せる黎明に、「命をなんだと思っているんだ」と憤る獅子神。
何かをしそうだった獅子神が、実際に何かをやって見せた。
それはマグレではなく、黎明を魅了した獅子神の実力。
好きな人間からは目を離せず、その人の一挙一動に過剰反応し、心乱れ焦り、失敗し傷付く。
傷つくことが増えたという事は、好きなモノが増えたという事。
「最高じゃないか」
「命は そういうコトに使うべきだよ」
11ラウンド目、結果は───
【門番】獅子神 | 鉄壁 | 居眠り | 歓迎 |
【旅人】黎明 | たいまつ | ハンマー | ハート |
【門番】獅子神のスコア | 変化なし | ハート-1 | ハート+1×2 |
ハッピーハート | ロウソク | |
獅子神 | 2→3 | 0本(無効状態) |
黎明 | 3 | 3本/5本 |
獅子神がハッピーハートを手に入れた。が、獅子神はこれを「黎明がわざと渡した」と指摘。
獅子神のロウソクが無効化された今、ゲームを終わらせる方法は
①黎明がハートを集めて勝利
②獅子神がハートを集めて勝利
③黎明が時間切れで死亡
のどれかしかない。
④獅子神の体調が毒により悪化し死亡or5分以上の遅延により失格
⑤黎明が何らかの理由により5分以上の遅延により失格
もあり得ますが、どちらも不確定過ぎるという事で除外ですかね?
つまり黎明としては、自身のハートも集めるが保険として獅子神にもある程度のハートを渡しておかなければならないのだ。
獅子神の話を聞いていた黎明は「誰もが自分の世界に国境を持ち 魅力がそこに入るパスポートになる」と語る。
「思う存分殺し合おう 2人の世界で」
「言っただろ? 押し入ってブン殴るってよ」
感想
獅子神さんの自己分析が冷静すぎて見ていて安心できる~ししでき~
略して「ししでき」です。よろしくお願いします。
黎明くんにたいまつを渡す・ハートを渡させる等、結果だけを見ると「獅子神さん強くなった!!」と思えそうな状況ですが、獅子神さんは決して慢心していません。
「騙し討ちが成功しただけ」
「お前は保険としてオレにハートを渡さなきゃならねぇ」
いいですね…。
黎明くんの方が格上という事実は変わりませんが、それでも対等に闘っている感が出てきました。
「男子3日会わざればなんかスゴイ感じになる」
正式には
「男子三日会わざれば刮目して見よ」
ですが、意味同じです。マジで。
命をかけて、愛(ころ)し合え───
とんでもねぇアオリ文ですね。
そして黎明くんは「好きなモノのためなら傷付いても泣いてもいい」という、ある意味すさまじく情の深い人間でした。
その反動か、興味がないモノに対しての対応が尋常じゃなく塩ですが…
黎明くんが名言製造機なのも、そういった性格から来ていたのかもしれませんね。