前回までのあらすじ
ギャンブラー's パーティー!
本編あらすじ
激務により精神を疲弊させていた御手洗。
精神を蝕む疲労は、伊藤の命令を心地好いもののように錯覚させていた。
片伯部からの招集に案の定応えなかった伊藤は、御手洗だけを向かわせる。
「やっぱり吉兆ちゃんは逃げたかい」
「まあいいさ 用があるのはアンタの方だ」
片伯部は、覇気のない御手洗の頭を杖で小突く。
子供たちの戦争ゴッコが白熱しすぎたため、大人が首をつっこまなければならなくなってしまった、と言う片伯部。
「友達から奪ったオモチャを返させる それが仲直りの第一歩なのさ」
わずかに反応する御手洗。
御手洗を”ラジコン坊や”と揶揄しながら、片伯部は語る。
伊藤が欲しがっているのは自分のコピーなどではなく、激務の中でも自分を失わないワガママな人間。
御手洗は人間で、意志を持つ権利がある。
自己中になる度胸があるなら、自由へのヒントをくれてやる。
終わらない仕事と、自身の無力感に押しつぶされかけていた御手洗だったが、やがて「笑いたい」というささやかな望みを思い浮かべる。
時計を見ずに食事がしたい。
着信音に怯えたくない。
空き時間じゃなく、休息が欲しい。
そして何より、命を削って働くのなら───
「ありがとうございます 片伯部主任」
「僕は 僕に従って生きます」
「寝起きは悪くなさそうだね 掌返しが早い子は大好きだよ」
御手洗の脳裏には、真経津の姿が浮かんでいた。
やがて片伯部の助言に従った御手洗は、周りの様子をよく窺うようになった。
チャンスはUFOや幽霊のように突然現れるものではなく、常に周りに存在している。
いつもの職場、いつもの仕事、いつもの同僚、いつもの上司、いつもの賭場、いつもの観客達───
「いつも」から抜け出したいなら、いつも通りじゃない何かを見つけなければならない。
そしてようやく、御手洗は「それ」を見つけた。
CROW HOTEL男子トイレ。
「僕が毎日試合に出始めてから アンタをよく見かけるようになった」
「これって なにか理由がありますよね」
特5・周防に話しかける御手洗。
あの下品な見世物がない時でも、周防はピリピリして賭場をうろついていた。
つまり周防は、御手洗の試合を観に来た、格の違う金持ち客を完璧にもてなそうとしていたのだ。
推理を語った御手洗は、持っていたペットボトルの水を周防にかける。
怒る周防だったが、ジャックポット・ジニーの時と違い、御手洗に手を出そうとしない。
「僕がお気に入りらしい アンタのお得意様は」
確信を得た御手洗は、自身の足枷を殴り、周防を抱き締める。
「僕は喧嘩じゃアンタに勝てない」
「だから賭けをしよう」
「僕に 自由へのチケットをよこせ」
一方、直前まで御手洗に同行していた昼間は、御手洗の行動について伊藤に報告していた。
「ボスが好きにさせろって言ってたんで行かせましたけど 間違いなくなんか企んでる顔でしたよ」
御手洗は、気絶した周防の携帯を奪い取り、電話をかけようとしていた。
感想
ずーっと御手洗君のターン!!
前回久々に登場し、そのあまりにも悲惨な割に特に誰にも触れられていなかったちょっと可哀想な御手洗君でしたが、
今回はずーっと御手洗君のターンでした!!
しかもフルスロットル!!
御手洗君、お前そういうとこやぞ。
そういうとこが一癖二癖ある金持ち達の心を掴んで離さんのやぞ。
フルスロットル後半はまあ置いておいて、前半の社畜御手洗君は本当に、ブラック企業に殺されていく人間の心理そのままで怖ろしいですね…。
命令されると安心する。
望みを持とうとしても、自身の無力感に押しつぶされてしまう。
ここは、共感して胸が痛んだ方も多いのではないでしょうか。
でもすぐにそれを台無しにする隠し撮り(笑)
これは…え…心のイメージ(???)的なアレで、本当にストーカーしてたんじゃないですよね御手洗君!!?
目が怖いよ~~~
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