前回までのあらすじ
酸素不足により、幻覚を見始める村雨。
それはかつて己が担当してきた患者たちのカルテと、患者自身の声───
本編あらすじ
幻覚を見ている村雨は、己の手番になっても身動きが出来ないでいた。
カルテだけでなく、とうとう患者たち自身の幻覚まで見え始めた村雨。
彼らはそれぞれ名前を名乗り、「趣味はバイクです」「おばあちゃんっ子なの」と自己紹介をするが、村雨は「下らない話よりどのカルテなのかが大事だ」「あなた達は病気なのだから」と患者たちの顔を見ようともしない。
「ヒデーこと言うな礼二 まさかオレにもそんなこと思ってんのか?」
「…兄貴?」
兄・一希は入院する程身体がボロボロになっていたが、悲壮感は全くなく、「チャッチャと治しちゃってくれよ 賢い弟の力でさ」と明るく弟に話していた。
だが肉親は執刀に関われない、と村雨は返し、「体と一緒に頭も治してもらえ」「あなたは他人のためにコストを支払いすぎる」と苦言を呈した。
妻子のことをコスト呼ばわりする弟に対し「礼二よ お前は賢いくせに大馬鹿だな」と穏やかに諭す一希。
「世の中には問題と その解決法しかないと思ってる」
「オレは幸せだよ 頭も体も悪くてもな」
「大丈夫 お前にもいつかわかる」
兄の言葉は、村雨にとって「わけがわからない」ものだった。
だがそれでも、人を切り続け学んだことをカルテに書きとめ人間を細かく分類し続けた本当の理由は、わけのわからない何かを村雨も得たいと思ったから。
───やっぱり君は 見たいようにしかモノを見れない
ならば何も見逃すな
真実には わけのわからんモノが付き纏うのだから!!
夥しい数のカルテが切り裂かれる。
その先にあったのは、今まで村雨が救ってきた、夥しい数の患者の笑顔。
───先生 本当にありがとうございました!!
札を選択する村雨。
三者は、村雨の空気が変わった事に気付く。
「私は医者だ」
「不具合の出た人間に診断を下し 壊れた箇所に適切な手術を施す」
「論理こそが真実への最短の道であり 感情とはそれを邪魔するノイズに過ぎない」
「だが一つだけ発見があった」
「論理的に考えて 人から感情が消えることはない」
「たった今から私の診断は 患者の気持ちを慮る」
感想
お兄さん!!!
名前、「村雨礼一」だと思ってました(笑)
「村雨一希」さんでしたね。
おいおい…
獅子神さんにクリソツじゃねぇの…
こりゃもう村雨さんファンも獅子神さんファンも心穏やかじゃいられねぇですよ。
お兄さんとやり取りしている村雨さんですが、何というか、平常運転でしたね。
お兄さん相手だから少し優しくなるとか、逆に固くなるとか、そういう事は全くなく、ギャンブラーズとつるんでいる時と同じような空気でした。
そしてお兄さんも、奥さんと子供が「コスト」扱いされても、「嫌な言い方すんなよ!」と、何というか…弟の扱い方を分かっている感じでしたね。
めっちゃ仲良いじゃんこの兄弟…
マジで時雨・山吹コンビはどこを見てあんな脅しをしてきたんだよ…
人の腹を切る理由
お兄さんの事を「わけがわからない」と称しつつも、その「わけのわからなさ」を得たいと考えていた村雨さん。
…ッハ~~~
もうさぁ…
村雨先生さぁ…
人間大好きじゃんね!!?
「診断」には邪魔だったけど、結局は「コスト」「ノイズ」と称していたものこそ、村雨さんの得たいものだった、と。
ただまあ、医者という職業柄、人の言葉よりも実際の肉体の状態や反応を見て、診断する事が優先されてきたわけで。
そういった事を積み重ねていった結果、当初の理由を置き去りにせざるを得なかったのかなぁ…と考えます。
こういう、「人の心が理解できなくて、理解しようと足掻く」系、めっちゃ好き。
だが「趣味:手術」のプロフィールを私は忘れんからな!!!
「先生、本当にありがとうございました!!」
あ~~~前回気になったセリフ~~~!!!
「論理的に考えて 人から感情が消えることはない」
当たり前!!!
でも!
論理的に考える村雨さんがこの結論に達したことが!!
すごいの!!!
それにしても「患者の気持ちを慮る」の邪悪さよ
病院で聞けばこの上なく頼もしいセリフのはずなのに…
予告
次号、村雨先生バージョンⅡ、お披露目します。
面白すぎでしょ(笑)